審査結果に納得できない場合(不服申立て)

審査結果に納得できない場合(不服申立て)

障害年金の請求をしたものの、不支給になってしまった場合や、決定された等級や内容に納得がいかない場合などは、「不服申立て」をすることができます。

不服申立て(審査請求・再審査請求)の概要

障害年金に関する不服申立ては、一審の「審査請求」と、二審の「再審査請求」の二審制になっています。

まずは審査請求をして、認められなかった場合は再審査請求に進むかたちです。

この不服申立ては、年金機構に再審査を求めるものではなく、一審は地方厚生局に置かれる「社会保険審査官」に、二審は厚生労働省に置かれる「社会保険審査会」に対して審査を求める手続きです。

審査請求、再審査請求ともに、ご本人が行うこともできますし、ご家族や専門家(社会保険労務士や弁護士)などを代理人に立てることもできます。

不服申立ての対象

不服申立ては、次のような場合に行うことができます。

  • 年金請求に対する決定に納得がいかない(不支給決定や障害等級の不服など)
  • 障害状態が悪化したため額改定請求をしたが認められなかった
  • 障害年金を受給していたが障害等級が下がった、あるいは支給停止された

これらの決定を「原処分」といい、原処分をした人(国民年金と厚生年金保険の運営主体)を「保険者」といいます。

不服申立てによる年金受給への影響

不服申立てをすることにより、すでに決定された内容が、不利益に変更されることは一切ありません。

たとえば3級と認定された原処分について、2級を求めて不服申立てをする場合、審査請求や再審査請求中も3級の年金は決定通りに支給され、不服申立てで2級が認められた場合のみ、受給権発生時または等級改定時の分から2級の年金額に変更されます。

審査請求(一審)

審査請求の方法

一審の審査請求は、管轄の地方厚生局に置かれる社会保険審査官に対して、通常は郵送により行いますが、年金事務所を通して提出することも可能です。

審査請求書は書式が決まっています。この書式は、社会保険審査官や年金事務所から取り寄せることもできますし、地方厚生局のホームページからダウンロードすることもできます。

審査請求の期限

審査請求の期限は、原処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内です。

この「知った日」とは、原則として、決定通知が届いた日です。必ずしもご本人が知った日というわけではありません。

※ 通知が発送されれば、郵便法により3日以内(日曜・祝日・1月2日を除く)に届いたものと推定されます。たとえば入院などにより長期不在にしていて、通知が届いたことを知りようがなかったという場合であっても、届いた日(または届いたと推定される日)が「知った日」となりますので、じゅうぶん注意して下さい。

審査請求の流れと原処分変更

社会保険審査官は、審査請求を受理すると、原処分をした保険者に、その旨の通知をします。

保険者はそれを受けて、原処分のもとになった書類の全てと、審査請求で提出された資料を検討し、意見書を作成して、社会保険審査官に通知します。

この検討の段階で、保険者自らが、当初の決定を変更する場合があります。これを「原処分変更」といいます。

原処分変更により、審査請求人の主張が全て認められれば、訴えの利益がなくなりますので、審査請求は取り下げるかたちになります。これが一番早い解決です。

原処分変更で、審査請求人の主張が一部だけ認められた場合(たとえば2級を求めていたところ、3級は認められた場合など)は、認められなかった部分について、引き続き審査請求で争うことができます。

口頭意見陳述と資料の閲覧・書面の交付申請

審査請求後、社会保険審査官に対して「口頭意見陳述」の開催を求めることができます。

口頭意見陳述には、担当の社会保険審査官のほか、保険者代理人が出席し、審査請求人は口頭で意見を述べたり、保険者に対して質問をすることができます(保険者代理人はオンラインでの参加となることが多いです)。

口頭意見陳述には、ご本人はもちろん、代理人を立てている場合、代理人のみが出席することもできます。また、委任状があればご家族などが代理で出席することも可能です。

もちろん、最初から口頭意見陳述の開催を求めないこともできます。

また、審査請求中には、社会保険審査官に対し、先に書いた保険者の意見書など相手方の文書や物件の閲覧や交付を求めることができます。

社会保険審査官の決定

審理が終わった後、社会保険審査官が作成する「決定書」が届きます。

決定は、「容認」(原処分の取り消し)か「棄却」(原処分を妥当とするもの)、または「却下」(審査請求が適法ではないとされたもの)のいずれかです。

審査請求で主張が認められなかった場合、通常、二審の再審査請求に進みます。審査請求では認められなくても、二審の再審査請求で認められることは多くありますので、棄却になったとしても、この段階で諦めてしまうのは得策ではありません。

再審査請求(二審)

再審査請求の方法と特徴

二審の再審査請求は、厚生労働省に置かれる 社会保険審査会に対して書面で行います。

再審査請求の書式の請求先は、社会保険審査官の決定書に書いてありますので、電話などで取り寄せるか、厚生労働省のホームページからダウンロードすることもできます。

一審の社会保険審査官が独任制なのに対して、社会保険審査会は、審査長と2名の審査員(医療担当・法令担当)の計3名による合議制です。また、口頭弁論による公開の審理(公開審理)が行われます。

再審査請求の期限

再審査請求の期限は、社会保険審査官の決定書が送付された日の翌日から起算して2か月以内です。

社会保険審査官の決定書は配達記録つきの簡易書留で発送され、いつ送付されたかは社会保険審査会も確認します。

※ 郵便局員が配達に来て、不在のため持ち戻った場合は、実際に決定書を受け取っていなくても、最初に配達に来て持ち戻った日が「送付された日」となりますので、じゅうぶん注意して下さい。

審査請求の流れと原処分変更

一審の審査請求と同様、社会保険審査会は再審査請求書を受理すると、原処分をした保険者に通知をし、それを受けた保険者は、それまで提出された全ての資料を検討した上で、意見書を作成します。

この意見書は、後述する公開審理の当日に渡されます。

ただし、検討の段階で、保険者自らが当初の決定を変更する場合があります。審査請求時と同様、これを「原処分変更」といいます。

原処分変更により、主張が全て認められた場合には、通常、取り下げにより再審査請求は終了します。

公開審理

一審での口頭意見陳述と異なり、必ず開催されるのが、二審の「公開審理」です。

公開審理には、再審査請求人や代理人、社会保険審査会委員(審査長と審査員2名)、保険者の代理人(事務官、医師)、社会保険審査会参与という立場の方々が出席し、質疑応答などが行われます。

代理人を立てている場合、公開審理には代理人のみが出席することもできます。また、委任状があればご家族などが、ご本人の代理で出席することも可能です。

なお、公開審理への出席は任意です。欠席することにより、不利益になることはありません。

社会保険審査会の裁決

公開審理後、社会保険審査会より「裁決書」が届きます。

裁決も、一審の決定と同様、「容認」(原処分の取り消し)か「棄却」(原処分を妥当とするもの)、または「却下」(再審査請求が適法ではないとされたもの)のいずれかで、これが行政段階での最終決定となります。

不服申立て以外の方法

行政訴訟

原処分に対する取消訴訟は、審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ提起することができません。

提訴期限は、審査請求の決定または再審査請求の裁決があったことを知った日から6か月です。

平成28年4月の法改正により、一審の審査請求後、二審の裁決を経ることなく提訴することもできるようになりましたが、心理面や費用、時間、労力の面など、訴訟へのハードルが高いこと、審査請求に比べて再審査請求で容認される可能性が高いことなどから、再審査請求を経ずに訴訟に移行するケースは、ごく限られるものと思われます。

再請求・額改定請求・支給停止事由消滅届

決定のもとになった診断書の内容が、実際の状態より軽いなど、状況によっては、あらためて請求しなおす方がよい場合もあります。

再審査請求で棄却されてしまった場合も、事後重症請求であれば、やり直しは可能です。

また、障害等級の不服の場合は額改定請求、支給停止の場合は支給停止事由消滅届という手段があります。

専門家の活用について

行政の決定を覆すのは、容易ではありません。

不服申立てをする上では、不本意な決定となった理由を確認、検証し、主張の根拠をしっかりと立てることが重要です。

障害年金の請求で、決定内容に納得がいかない場合は、ぜひ、障害年金を専門とする社会保険労務士にご相談下さい。不服申立てでの容認の可能性や、不服申立て以外の方法などを総合的に検討し、道筋をご提示しますので、その上で、慎重に検討されることをお勧めします。

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