障害年金を受給中の手続き

障害年金の受給中には、再認定(いわゆる更新)と、それに伴う等級変更や支給停止、障害の状態が悪化した場合の額改定請求の手続きなどがあります。

障害状態の再認定(更新)

障害年金の認定には、再認定を必要としない「永久認定」と、定期的に障害の状態が審査される「有期認定」があります。

永久認定とされるのは、症状の固定性が認められる一部の障害のみで、多くの場合は有期認定とされており、一定期間(1年〜5年)ごとに「障害状態確認届」(診断書)を提出する必要があります。

何年の有期認定になるかは、障害の種類や状態により個々に異なります。

最初の請求の際は、支給決定時に送付される年金証書に「次回診断書提出年月」が記載されています。また、再認定の都度、次回は何年に診断書を提出するのかが通知されます。

障害状態確認届の提出月は誕生月で、提出年月の末日が「指定日」とされます。

障害状態確認届の提出と審査

年金機構より、提出年月の3か月前の月末までに、障害状態確認届(診断書)の書式が届きますので、指定日前3か月以内の障害の状態で、医師に作成を依頼し、提出します。

提出が遅れると、年金が「差止め」となる場合がありますので、注意して下さい。

提出後、等級に変更がなければ「次回診断書提出年月のお知らせ」が、等級が改定された場合は「支給額変更通知書」が送付されます。

障害の状態が軽くなったと判断されれば、障害等級が下がったり、支給停止になることもあります。

このように不利益に変更される場合、提出月の4か月目の分から支給停止や減額改定となります。たとえば7月が提出月であれば、11月分から改定されます。

逆に、障害等級が上がる場合は、提出月の翌月分から増額改定されます。

※ 永久認定の場合は定期的に診断書を提出する必要がありませんが、1級以外の障害年金を受給している場合で、障害の状態が悪化したときは、後述する額改定請求の対象になります。永久認定では、額改定請求をしない限り等級が改定されませんので、注意が必要です。

額改定請求

障害の状態の悪化により、受給している障害年金の等級より重い等級に該当すると考えられる場合、年金額の増額改定を請求することができます。この請求を「額改定請求」といいます。

額改定請求は、原則として、「障害年金の受給権を取得した日」または「障害の程度の診査を受けた日」(障害状態確認届による診査の結果、従前の障害等級と変わらないと確認された場合を除く)から起算して1年を経過した日以後しかできません。

ただし、次の27項目のいずれかに該当した場合は、1年を待たずに額改定請求することが可能です。

眼の障害

1. 両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの

2. 一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの

3. 両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの

4. 一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの

5. ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの

6. 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの

7. ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの

8. ゴールドマン型視野計による測定の結果、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、I/2視標による両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの

9. 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの

聴覚・言語機能の障害

10. 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの

11. 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの

12. 喉頭を全て摘出したもの

肢体の障害

13. 両上肢の全ての指を欠くもの

14. 両下肢を足関節以上で欠くもの

15. 両上肢の親指および人差し指または中指を欠くもの

16. 一上肢の全ての指を欠くもの

17. 両下肢の全ての指を欠くもの

18. 一下肢を足関節以上で欠くもの

19. 四肢または手指若しくは足指が完全麻痺したもの(脳血管障害または脊髄の器質的な障害によるものについては、当該状態が6月を超えて継続している場合に限る)
※完全麻痺の範囲が広がった場合も含む

内部障害

20. 心臓を移植したものまたは人工心臓(補助人工心臓を含む)を装着したもの

21. 心臓再同期医療機器(心不全を治療するための医療機器をいう)を装着したもの

22. 人工透析を行うもの(3月を超えて継続して行っている場合に限る)

その他の障害

23. 6月を超えて継続して人工肛門を使用し、かつ、人工膀胱(ストーマの処置を行わないものに限る)(※)を使用しているもの

24. 人工肛門を使用し、かつ、尿路の変更処置を行ったもの(人工肛門を使用した状態および尿路の変更を行った状態が6月を超えて継続している場合に限る)

25. 人工肛門を使用し、かつ、排尿の機能に障害を残す状態(留置カテーテルの使用または自己導尿(カテーテルを用いて自ら排尿することをいう)を常に必要とする状態をいう)にあるもの(人工肛門を使用した状態および排尿の機能に障害を残す状態が6月を超えて継続している場合に限る)

26. 脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態をいう)または遷延性植物状態(意識障害により昏睡した状態にあることをいい、当該状態が3月を超えて継続している場合に限る)となったもの

27. 人工呼吸器を装着したもの(1月を超えて常時装着している場合に限る)

(※)人工膀胱(ストーマの処置を行わないものに限る)とは、新膀胱のことです。

額改定請求には、請求日前3か月以内の障害の状態で作成された診断書が必要です。
審査の結果、等級改定が認められた場合は、請求月の翌月分から年金額が改定されます。

※ 過去に同一の支給事由による障害基礎年金の受給権を一度も有していない3級の受給権者は、65歳(65歳の誕生日の前日)以後の額改定請求はできません。

支給停止事由消滅届

障害の状態が、定められた障害等級に該当しない程度に軽くなったとして支給停止された場合でも、受給権(年金を受給するための基本的な権利)はなくなりません。

障害等級に該当しない間、支給が停止されますが、65歳到達(または支給停止となってから3年経過のいずれか遅い日)までの間に、障害の状態が悪化して、再び障害等級に該当したと認められれば、支給停止は解除され、年金支給が再開されます。

支給停止の解除を請求するためには、「支給停止事由消滅届」という届出書に診断書を添付して提出することが必要です。

この支給停止事由消滅届について、時々誤解されている点ですが、障害等級に該当すると認められた場合、届出をした月の翌月分から支給再開されるのではなく、障害等級に該当した日(具体的には、診断書の現症の年月日=いつの障害の状態なのかを示した日)の属する月の翌月分から支給再開されます。

たとえば、1月の障害の状態について作成された診断書を添付して、6月に支給停止事由消滅届を提出し、障害等級に該当すると認められた場合は、1月に遡って支給停止が解除され、2月分からの年金が再び受給できます。

また、この診断書の現症日は、支給停止となった日後であれば、いつでも構いません。額改定請求の場合と異なりますので、注意が必要です。

         
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